キミとひみつの恋をして
「イルカとマンタ、可愛かったよ」
「ああ、イルカ触れるんだっけ。癒された?」
「うん! めちゃめちゃ」
「ハハッ、そっか」
目を細めて笑みを浮かべた二ノ宮が、ところでさ、と続ける。
「桃原は怪談噺し好き?」
「え、好き」
怖がりだけど、ホラー映画や心霊特番大好きな私は思わず即答してしまった。
食いつきすぎたのか二ノ宮は「マジか」と笑う。
「実はさ、あとで怪談大会やるんだけど、桃原も俺らの部屋来ない?」
「い、いいの?」
まさかのお誘いに、こちらも本当ならイエスと即答をしたいところだけど、何せ男子の部屋だ。
男バスのマネージャーをしてるから、男子の中にいることは慣れてるけど、修学旅行では異性の部屋に行くのはよしとされないだろう。
きっと先生たちも警戒してるはずだ。
見つかればお説教は免れない。
けれど。
「もち。あ、でも、桃原は俺の隣に座ること」
「どうして?」
「そりゃ、他の男に抱き着かれたら困るからだよ」