キミとひみつの恋をして


好きな人に冗談でもこんな風に言われたら、リスクを犯しても行きたくなる。

というか、二ノ宮には好きな人、いるんだよね。

でも平気でこういうこと言えてしまうのは、どうなんだろうか。

私は嬉しいけど、万が一好きな子が聞いてしまったら、軽い人だとか誤解されるのではと心配になる。

自分の失恋も困るけど、二ノ宮が失恋して落ち込んでる姿を想像すると、なんとも言えない感情になった。

好きな人……誰、なんだろう。

同じ学年?

もしかして、告白してくれた先輩?

付き合わなかっただけで、本当は好き、とか。

今はバスケに集中したいからごめんなさい、みたいな。

そんな可能性もゼロではないはず。

だとすれば、この修学旅行には参加してないし、この振る舞いも理解できるものだ。

思わず考え込んでいると、二ノ宮が罰の悪そうな顔をする。


「もしかして、ウザい?」

「……え?」

「ごめん。俺、心狭いよな」


彼氏でもないのに。

そう笑って話す二ノ宮は、もし来るなら誰か友達誘ってもいいよと言い残して去って行った。


ウザい、なんて。

そんなこと微塵も思ってない。

でも、ね。

勘違いしてしまいそうなこと言うのは……


「ずるいよ」


二ノ宮を想う私には、結構、辛いです。

彼の残した言葉をどう受け止めればいいのかわからないまま、私は柑菜の元へと向かった──。



< 29 / 240 >

この作品をシェア

pagetop