キミとひみつの恋をして
好きな人に冗談でもこんな風に言われたら、リスクを犯しても行きたくなる。
というか、二ノ宮には好きな人、いるんだよね。
でも平気でこういうこと言えてしまうのは、どうなんだろうか。
私は嬉しいけど、万が一好きな子が聞いてしまったら、軽い人だとか誤解されるのではと心配になる。
自分の失恋も困るけど、二ノ宮が失恋して落ち込んでる姿を想像すると、なんとも言えない感情になった。
好きな人……誰、なんだろう。
同じ学年?
もしかして、告白してくれた先輩?
付き合わなかっただけで、本当は好き、とか。
今はバスケに集中したいからごめんなさい、みたいな。
そんな可能性もゼロではないはず。
だとすれば、この修学旅行には参加してないし、この振る舞いも理解できるものだ。
思わず考え込んでいると、二ノ宮が罰の悪そうな顔をする。
「もしかして、ウザい?」
「……え?」
「ごめん。俺、心狭いよな」
彼氏でもないのに。
そう笑って話す二ノ宮は、もし来るなら誰か友達誘ってもいいよと言い残して去って行った。
ウザい、なんて。
そんなこと微塵も思ってない。
でも、ね。
勘違いしてしまいそうなこと言うのは……
「ずるいよ」
二ノ宮を想う私には、結構、辛いです。
彼の残した言葉をどう受け止めればいいのかわからないまま、私は柑菜の元へと向かった──。