キミとひみつの恋をして


「……二ノ宮は、星が好きなの?」

「好きかな。あーでも、バスケには劣るけど」


うん、バスケが好きなのは見てればわかるよ。

そして私は、バスケが好きだって顔でプレイしてる二ノ宮を見るのが好きなんだ。

というか、さっきから好きを連呼し合ってて、昨日のこともあるし恥ずかしくなってきた。


「桃原は? 星は好き?」


互いに星空を見上げたままで、私は二ノ宮の質問に答える。


「私は星より月が好きかも」

「なんで?」

「うさぎが住んでるから」


もちろん、冗談だ。

さすがに高校生にもらなって、月にうさぎは住んでいないことはわかってる。

でも、幼い頃に祖母から聞いたこの話は、当時の私にはとても心惹かれる内容だった。

私の回答に、肩を揺らして笑う二ノ宮。


「子供かよ」


ツッコミを入れつつ、まだ少し笑いながら二ノ宮が私を見る。

けれどすぐに、逸らされて。

その瞳を迷うように揺らし。


「あの、さ」


歯切れの悪い、いつもの彼らしからぬ小さな声で。


「俺……桃原のこと、好きだよ」


想いを、伝えられた。


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