キミとひみつの恋をして
♡きみと両想い
secret.6
『梅雨に入りました』
今朝のニュースで女子アナがそう話すのを聞いて、私は少し憂鬱な気分になりながら朝の通学路を歩いていた。
空はどんよりと曇っていて、今にも降り出しそうな気配。
梅雨の時期は髪型がうまくまとまらないから困るんだよね……と、昨日カットしたばかりの髪に触れながら考えていたら。
「桃原!」
二ノ宮が後ろから追いついて隣に並んだ。
「はよ」
「おはよう。今日から梅雨入りだって」
「らしいね。ま、部活にはあんまり影響ないのが救いだな」
それは私も心から思う。
彼が生き生きとバスケをする姿を見れるのは嬉しいから。
朝練に向かう私たちは、道の先に見える灰色の空を見ながらとりとめもない会話を続ける。
そんな中、ふと、二ノ宮が歩みを進めながら首を傾げた。
「あれ? 桃原、少し髪切った?」
「うん。よくわかったね」
カットしたといっても伸びた分を整えてもらっただけだから、まさか気付いてもらえるとは思わなくて驚いていると。
「可愛い」
二ノ宮は褒めながら爽やかに微笑んだ。