キミとひみつの恋をして
「……嘘でしょ……」
梅雨入りしたとは聞いたけど、今日の天気予報では雨マークなんてついていなかった。
それなのに、今、私を学校近くの公園に足止めしているのはまさしく雨。
しかも雨粒は大きく、無理に帰ろうとすれば駅に着く頃には制服は雨を吸い込み重量を増やしているだろう。
まして夏服は白いワイシャツにネクタイだけ。
キャミソールを着ていても、透けて見えてしまうのは恥ずかしい。
それに、そんな状態で電車に乗るのはもちろん、風邪をひいても困るので、私は仕方なく人気のない公園の東屋で1人佇み小降りになるのを待っていた。
……二ノ宮、今頃駅に着いてるかな。
彼は私よりも数分先に結城や先輩たちと一緒に帰っていった。
今週は大会もあるし、降られる前に着いてたらいいけど……と、彼の身を案じていたら。
「もーもっはら」
なんと、二ノ宮が藍色の傘を差してこちらにやってきた。
「先輩たちは? 忘れ物?」
「うん。俺の大好きな子を探しに」
柔らかな笑顔を浮かべながら、彼は東屋の下に入ると、その手の傘を私に差し出す。