キミとひみつの恋をして
翌日、朝7時──。
「ヨーッス、美羽ちゃんオハヨ」
朝練の為、体育館に入ると、すでにシュート練習を行っていた副部長が私に手を振る。
その後方に、ジャンプシュートを決める二ノ宮の姿を見つけた。
昨日の電車内での大接近もあって、何だかいつも以上に意識してしまう。
「おはようございます、䋝田(おだ)先輩」
ペコリと軽くお辞儀をすれば、䋝田先輩は部員にそのまま練習を続けるように言って、私の元へやってきた。
「美羽ちゃんは今日も可愛いねー」
「䋝田先輩は今日も軽いですね」
苦笑いする私の言葉に、先輩は楽しそうに笑うだけ。
3年A組、䋝田 圭介(けいすけ)。
我が冬ヶ崎(ふゆがさき)高校男子バスケ部の副部長である彼は、今日も朝からマイペースに行動中だ。
バスケットボールを人差し指の上で回転させながら、器用に私について歩いている。
「ね、ところでさ、今日は放課後あいてんの?」
「部活があるので。というか、䋝田先輩もですよ!」
「その後だよ。終わったらうちに遊びに来ねえ?」
……本当、この人はいつもこんな感じだ。
ちなみにこの行動は何も私だからではない。
他の女子生徒にも同じようにデートに誘ったりしているのだ。
ただ、先輩はモテる。
端正な顔に、モデル並みの小顔。
話す声はどこか気怠げでセクシー。
䋝田先輩が誘えばついて行く女子生徒は多い。
でもあいにく私は二ノ宮が好きなので、毎度お断りしてるわけだけど……
「いい加減さ、1回くらいよくね?」
䋝田先輩はめげないのだ。