キミとひみつの恋をして
色を濃く変えたブランコを見つめながら、二ノ宮が静かな声で話す。
「思うんだけどさ」
「うん」
「手を繋ぐのは、友達としてあり?」
「……なかなかないよね」
もし、友人同士だと思っていた男女が手を繋いでいるところを見たら、私なら間違いなく付き合ってるんじゃないかと勘違いするだろう。
「アウト?」
「アウトかも」
答えると、二ノ宮は「そっか」と呟いて。
「……それなら、アウトついでにいいよね」
そう言いながら、片手で傘を開くと、私たちを人目から隠すように傾け──
その唇を、少し冷えた私の唇に重ねた。
キスをするのは、修学旅行のあの夜以来。
本当はずっと触れたかった。
両想いなのに、触れ合えないのが苦しかった。
想い合っていても、付き合えないという曖昧な関係は不安が生まれやすくて。
だからこそ、二ノ宮の甘い言葉に照れながらも安心している自分がいた。
じゃあ、私は?
二ノ宮に、安心を与えられてるのだろうか。
今、与えてあげられるなら。
そう思って、勇気を振り絞り、離れかけた唇を追いかけ、私から重ねれば。