キミとひみつの恋をして
ボーダー柄のカットソーの上に手にしていたデニムジャケットを羽織りながら、兄は「そういえば」とニヤニヤしながら私を見た。
「お前彼氏できたの? 昨日、うちの前まで送ってもらってただろ」
うわっ! 見られてた!
日曜日は、部が休みなので、二ノ宮と私が唯一ゆっくりと会える日だ。
誰かに見つかると困るから、基本的に私たちが2人で会う場所は室内に限定される。
昨日は、万が一誰かに見られても、ヒトカラに来たら偶然会ったことにすればいいという作戦でカラオケに行っていた。
その帰り、心配だからというのと、もう少し一緒にいたいからと言われて、二ノ宮が家まで送ってくれたのだ。
私も、一分一秒でも長く彼と一緒いたかった。
だから多分、二ノ宮が同じように思ってくれていたのが嬉しくて、好きという気持ちがダダ漏れだったかもしれない。
そうでなければ、兄が少し見ただけで彼氏だと思わないだろうし。
こ、これはもう少し気を引き締めないと、一条部長なんか鋭そうだから危険だ。
「バスケ部のやつ?」
「お、お兄ちゃんには関係ないでしょ」