キミとひみつの恋をして
兄はうちの部に恋愛禁止の掟があるのを知らない。
まさか兄の口からうちの部員にバレたりという展開はないだろうけど、兄は今もバスケをやっているしどこでどう繋がるかわからない。
だから、とりあえず濁しておいたのだけど。
「あるね。バスケ部のやつなら俺に勝たないと妹はやらん!なんつって」
何だか面倒くさい冗談を口にした。
「はいはい、おもろー」
「なんだその態度は」
この話題を終わらせたいの!
心の中で叫び、時間は大丈夫なのかと尋ねれば。
「おっと、やべ」
スマホで時間を確認した兄はドアの横に置いてある黒いリュックを背負った。
そして、そのまま下の階に降りるのかと思いきや。
「あ、そうだ。美羽、ハピバ」
誕生日を祝う言葉をくれた。
そうなのだ。
実は今日は私の誕生日で、めでたく1つ年を重ねた。
昼休みには柑菜からプレゼントをもらい、今も鞄の中に入っている。
ちなみにうちの両親は共働きで、帰りはいつも夜の9時を過ぎる。
誕生日なのに寂しいけど、週末にお祝いするというのが昔からうちのやり方なので特に文句はない。
去年はお兄ちゃんがプチ祝いとか言って、甘いものを食べに連れてってくれたんだけど、今年は蓮さんにとられてしまった。
って、ブラコンか私は。