キミとひみつの恋をして
「えっ!」
慌てて玄関に向かいドアを押し開けると。
「ごめん、いきなり押しかけて」
制服姿の二ノ宮が、立っていた。
白いワイシャツの首元には、程よく緩められたネクタイ。
肩からかけられたエナメルの鞄は彼が愛用しているもので、どう見ても学校帰りだ。
「ど、どうしたの?」
「電話したけど出なかったからチャイム押したんだよ」
「あ、ごめんね。スマホ部屋に置いてきてた。えと、とにかくあがって」
「いいの?」
聞かれて私は「もちろん」と頷く。
二ノ宮はドアを閉めると人の気配がないことに気づいたようで。
「もしかして1人?」
お客様用のスリッパを出す私に問いかけた。
「うん。さっきまでお兄ちゃんもいたんだけど、友達と夕飯食べに行ったの」
「そっか。来て良かったかも。誕生日の桃原を独り占めできる」
「え?」
二ノ宮の言葉には首をかしげると、彼は家に上がらないまま鞄に手を入れて。
「誕生日おめでとう」
綺麗にラッピングされた細長い箱を私に差し出した。
「え……次の日曜日にお祝いって……」
「うん、それもやるけど、プレゼントはやっぱり桃原が生まれた日に渡したかったから」
「ありがとう……」
思いやりに溢れた彼の手から、プレゼントを受け取る。