キミとひみつの恋をして
secret.8
我が冬高男子バスケ部では、年に2回、強化合宿が行なわれる。
夏季と冬季、どちらも三泊四日。
夏季は特にインターハイもあり、気合いが入っている。
インターハイ開催県は二校が出場できるのだけど、今年は私たちの住む県が開催県。
冬高は地区予選を勝ち抜き、6月の県予選にも勝ち残ることができた。
あとは8月上旬から始まるインターハイに全力で挑むのだが、その為の合宿が今日からスタートした。
午前中は宿舎から2キロほどの場所にある体育館までランニングし、その後昼食まで館内で練習の予定だ。
私は監督と一緒にバスで体育館まで移動するはずだったけど……
「すみません、䋝田先輩。買い出しに付き合ってもらって」
「いやいや、サボれてラッキーっしょ。で、監督から頼まれたのって何?」
現在、私は監督から指示されて宿舎近くの商店街を、䋝田先輩と一緒に歩いていた。
合宿の時は前日までに必要なものを揃えておくのだけど、チェック漏れがあったらしく、それらを見繕いに来ているところだ。
蝉の鳴き声が響く夏空の下、監督からもらったメモを見ながら、䋝田先輩と2人で歩行者の少ない信号を渡る。
この辺は栄えているわけでもなく、かといって寂れているわけでもないようで、商店街にはほどよく人が歩いていた。
ふと、洋菓子屋さんが目にとまり、明るく可愛らしい内装に思わず足を止めてしまう。