キミとひみつの恋をして
買い出しを終えた私たちは冷房のきいたバスから降りると、みんなが練習している体育館に向かう。
荷物をかかえ、体育館に䋝田先輩と入ろうとした瞬間、中から争うような声が聞こえて私と先輩は顔を見合わせた。
「なんだ?」と䋝田先輩は声にして、重さのある引き戸に手をかける。
扉が音をたてて開くと、コートの中央あたりで三輪君が何か騒いでいるようだった。
しかも、その相手が……二ノ宮で。
䋝田先輩は端の方で様子を見ている一条部長に話しかける。
「どうしたんだ、あれ」
「ああ、お帰り。どうやら、二ノ宮がパスミス連発してたみたいで。それで三輪がキレちゃったんだ」
「監督は?」
「一度吐き出させとけって、先に宿舎に戻ったよ」
部長が苦笑いすると、䋝田先輩は肩をすくめた。
「ま、いつかはこうなると思ってたけどな」
呆れた声で言いながら、荷物を足元に下ろす。
二ノ宮は、反論もせず三輪君のきつい言葉を受け止めていて、本当にこのままの見守るだけでいいのかと一条部長を見た。
部長は、腕を組んで静かに2人の様子を伺っている。