キミとひみつの恋をして
「あの、止めなくて大丈夫ですか?」
声をかけると、一条部長は私を見つめて優しく微笑んだ。
「二ノ宮が心配?」
なぜ、二ノ宮だけになるのか。
もしかして、部長は私たちが付き合っていることに気づいている、とか?
䋝田先輩が疑っていたくらいだ。
勘がいい一条部長なら、気づいていてもおかしくはない。
……気づいていたとしても、確信させてはいけない。
私は、密かにハラハラしながらも「二ノ宮もですけど、三輪君もです」と答えた。
そして、三輪君が色々悩んでたから、やりすぎないかも心配だと告げれば、部長はひとつだけ頷く。
「そうだね。まあ、三輪が自分で越えないといけない壁だからな」
「壁、ですか?」
「うん。二ノ宮って壁ね。三輪は確かに上手いけど、独りよがりなプレイが多い。その点、二ノ宮は周りをよく見ているし統率力がある。繋ぐ力が抜群だから、三輪にはいい手本なんだけど……」
そこまで話したところで、座ってストレッチを始めた䋝田先輩が会話に入ってきた。
「三輪は攻めどころばっか意識してるからな」