キミとひみつの恋をして


「桃原は俺の彼女だって言えれば、䋝田先輩にも堂々とやめろって言えるんだけどなー」


いや、普段からそこそこ言えてるから䋝田先輩が怪しんでるんだけど、とはあえて口にせず苦笑を返せば、二ノ宮の顔が暗く沈む。


「実はさ、三輪と揉めたの、桃原のことばっか考えてたからなんだ」

「えっ」


まさか、ミスの原因が自分だったなんて予想もしてなくて驚きの声が上がってしまった。

今度は二ノ宮が苦笑いしながら話してくれる。


「䋝田先輩に手、出されてないかな、とか考えたらモヤモヤっていうか、イライラしてきて」


集中できなかった、と、声が尻すぼませながらも胸中を教えてくれた。

そして、悟る。

……部内恋愛が禁止なのは、こういうことを防止する為なんだと。

ケンカしたり別れたりしたら面倒だからだと、以前誰かから聞いたことがあった。

また、実際に交際していた2人が問題を起こしたことがあるとも。

でも多分、それだけじゃなくて。

部内で付き合うことによる弊害が色々なところで出るからなんだろう。

二ノ宮が心配してくれたり、ヤキモチを妬いてくれるのは彼の気持ちが私に向いてる証拠だし、少し嬉しくもあるけれど……

彼の邪魔には、なりたくない。

また同じようなことがあった時にミスしないよう、何か安心させる方法はないかと思案していたら。


「お前らアホだろ」


突然、声が聞こえて私たちは慌てて互いの背に回していた手を離した。


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