キミとひみつの恋をして
洗濯室の入り口に立ち、こちらを呆れた眼差しで見ているのは……
「䋝田先輩!」
まずいことに、副部長で。
深い溜め息を吐いた先輩の様子を、私たち2人は固唾を飲んで伺う。
䋝田先輩は廊下の向こうに誰もいないことを確認すると、扉を閉めた。
「扉開けっ放しだし、そーいう話すんなら周りしっかり確認しておけよ」
わ……扉開いてたんだ。
なんて、今更反省しても時遅し。
ついにバレてしまって、これからどうしたらと私は青ざめた。
心臓が大きく脈打つ中、隣に立つ二ノ宮が「聞こえてました?」と確認する。
「がっつりじゃねーけど、お前らの関係がわかる程度にはな」
まさか、抱き締め合ってたとは予想外だったと鼻で笑う䋝田先輩。
「あ、あのっ、このこと」
監督や部長に報告しないでほしい、なんて、虫のいいお願いなのはわかっている。
でも、別れたくなくて、手に汗を滲ませつつ声にしようとすれば。
「言わねーよ。そもそも俺はあのバカげた掟、反対派だしな」
またしてもまさかの展開となり、嬉しさがこみ上げる。