キミとひみつの恋をして
三輪君は特に何かを話すわけでもなく、アイスをかじっていて。
私も淡々と冷たいアイスを口内で溶かし味わっていたら。
「……やっぱり、マネージャーといるとそうかも」
「何が?」
「……なるほどね」
三輪君はブツブツと独りごちてから、不敵な笑みを浮かべる。
そして、アイスの棒を咥えながら私を見つめた。
「ね、桃原先輩。実は相談したいことがあるんだけど、今日の夜、少しいい?」
相談……?
三輪君が私に相談って、なんだろう。
部の事で、部長とかには言いにくい、とか?
なんにせよ、悩みがあるなら放ってはおけないので私は頷く。
すると、三輪君は可愛らしい笑みを浮かべて。
「やった。じゃ、部屋に行くね」
──え。
ま、待ってよ?
それは、部屋に迎えに来るということだろうか。
確認しようとした直後、三輪君は鼻歌を歌いながランニングの準備に向かってしまう。
た、多分……迎えに来る、で間違いないはずだ。
何せ、マネージャーの部屋に入るのは禁止されている。
事情があり、監督の許可があれば別だけど……そこまでするとは思えないし。
ちらりと二ノ宮の様子を伺えば、彼は一条部長や䋝田先輩と会話をしながら体育館を出ようとしている。
二ノ宮にはあとで三輪君の相談に乗ることになったと連絡しておこうと考えて、私は片付けを始めたのだった。