キミとひみつの恋をして
「うん。二ノ宮は電話してて大丈夫?」
『廊下だから平気。それより、何もされてないよな?』
「大丈夫だよ」
座布団の上に座りながら答えると、安堵の声が返ってくる。
『良かった……てか、まさか部屋に入ってたとは』
声のトーンを僅かに低くした二ノ宮に、私は彼を心配させてしまったことを謝った。
「ごめん。追い出せなくて」
『いいよ。きっと、最初から俺を揺さぶるつもりだったんだろうし』
どうやら全てお見通しだったらしい。
私が肯定すると、彼は『それより、こっちこそごめん』と謝罪する。
『本当はすぐに行きたかったけど、これ以上バレるような行動取れないって思って。挑発だろうし、䋝田先輩に相談したんだ』
「そうだったんだね」
二ノ宮の話を聞きながら、私は1人密かに納得していた。
彼は、コートの上だけじゃなくて、普段から周りをしっかり見ていて、何が必要なのかをちゃんと状況判断ができる人なんだと。
『あのさ、明日の夜、花火大会あるだろ?』
深く感心していたら、ふいに話題を変えられて私は瞬きをする。
「うん」
『みんな見に行くらしいけど、今年も特にまとまって動くわけじゃないらしいから、こっそり2人で花火見るとかどう?』
嬉しいお誘いに、私は顔を輝かせた。