キミとひみつの恋をして
──ドン、と空気を震わせ、光り、咲き誇る。
待ちに待った花火大会がいよいよ始まった。
監督の話によると、毎年この時期に合宿をしているけれど、花火大会と日程が重なるのはそんなに多くないらしい。
去年も見れたし、私たちはラッキーなんだと、午前中に監督が笑って言った。
本当に、ラッキーだ。
合宿最終日に……
「お、今のでかい」
二ノ宮と2人きりで、花火を楽しめるなんて。
私たちは窓際までテーブルを移動させて、そこにお菓子や飲み物を用意しながら、開いた窓から見える花火を隣に並んで眺めていた。
ちなみに、この部屋から花火が見えると教えてくれたのは䋝田先輩らしい。
そして、せっかくだから2人で楽しめと勧めてくれたんだとか。
それを二ノ宮から聞いたのは、朝、練習が始まる前だ。
どうしてもお礼を言いたかった私は、昼休憩でたまたま䋝田先輩と話す機会があったので、その時に、三輪君のことも一緒に、ありがとうございましたと伝えた。
すると、先輩はニカッと笑って。
『あー、いいよ。三輪のはあれが最善だろ』
私の頭をポンポンと軽く叩いた。
そして……
『掟なんて撤廃すればいいのにな』
微笑みながら、面倒そうに零した䋝田先輩。