キミとひみつの恋をして
secret.10
二ノ宮と三輪君。
2人の関係にしこりが残ったまま合宿は終わった。
そして、本日いよいよインターハイの開会式が行われ、都道府県の予選を勝ち抜いた出場校が総合体育館に集まっている。
ピンと張りつめた緊張感と高揚感に満ちた空気の中、学校ごとに整列している様を、私は監督と一緒に観客席から見守っていた。
今コートに並んでいるのは、明日から始まる1回戦に選ばれたベンチ入りメンバーだ。
スタメンには部長、副部長はもちろん二ノ宮と結城もいる。
そして、三輪君はというと……
「……はーあ」
残念ながら今回はベンチ入りできなかった。
そのせいか、とても機嫌が悪く、私の真後ろで深い溜め息をこれ見よがしに吐いている。
そもそも、インターハイは2年と3年をメインに選ばれることが多い。
そして、ウインターカップでは3年から託されるように1年と2年が活躍をする。
3年は、人によっては大学受験の為、このインターハイがラストの大会になる人もいるのだ。
部長と副部長は推薦かAO入試でいけそうらしく、ウインターカップまで引退しないと聞いている。
明日勝てば、次の試合では三輪君もベンチ入りできるかもしれない。
でも、簡単に口にしていい言葉ではないので、私は彼の溜め息を受け流す。
監督も、他の部員も聞こえているだろうけど、声をかける人はいなかった。
私はまだ少し背後の三輪君を気にしつつ、コートに整列している二ノ宮に視線をやる。