キミとひみつの恋をして
紺色に白字のユニフォームを纏う二ノ宮は、真剣な顔つきで、前年度優勝校の選手宣誓に耳を傾けていた。
昨夜、電話越しに二ノ宮が話していたことを思い出す。
『三輪には悪いけど、うちが勝つ為には今のアイツがコートに立たないように頑張るよ』
今、三輪君がコートに立てば、チームの足を引っ張るだろう。
もちろん、それは監督も、部長たちも危惧していて。
だから、今回三輪君がベンチ外なのは致し方ないのは私もわかっている。
けれど、それは二ノ宮の負担も増えるということだ。
体調は万全に。
怪我に気をつけて。
試合中スタミナ不足にならないよう、ペース配分を考える。
それを、二ノ宮は毎試合、意識して試合に臨むのだ。
もちろん、うちにはポイントガード向きの選手は他にもいる。
でも、実力的には二ノ宮の次に上手いのは間違いなく三輪君だ。
三輪君が、もう少し温和な人であったなら、このチームは最高なんだと思う。
それこそ、優勝が手に届く可能性も高いのに。
明日の試合を見て、三輪君の意識が前向きになればいいなと願いながら、私もまた、皆と同じように、バスケットボール協会理事の挨拶を聞くのだった。