あの空を越えて逢いにいく。
下校道をしばらく歩いていると
私の前に一匹の黒猫が通り過ぎる。




あ、あの黒猫は、体育の時の・・・・




艶のある漆黒の毛並み、凛とした表情
間違いなく、同じ黒猫だった。




黒猫は立ち止まり
私のことを振り返ると




ニャー‥‥



と鳴き、
また歩き出した。




私を呼んでる‥‥?



私は思わず
黒猫のあとを追ってしまう。





黒猫は公園まで来ると

公園の紫陽花の中を
すり抜けていく。






「・・・・・」





このまま追って
私もあの紫陽花の中を通ると
かなり汚れてしまうだろうな。






いつもの私なら、
きっと追うのを諦めた。


だけど今日は、
すでにもう、雨に濡れて制服も私もずぶ濡れだ。


ここからさらに少し汚れたとしても
別に構わない気がした。





私は思い切って
紫陽花をかき分けながら黒猫を追う。


子供のような自分の行動に
なんだか、ワクワクしていた。




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