あの空を越えて逢いにいく。

そう思ったらまた鼻の奥がツンと熱くなり
涙が溢れ出してくる。





「逢坂くんが‥‥こんな私を必要としてくれるのが‥‥嬉しくて、ぐすっ」





さっきよりもポロポロこぼれ落ちる涙に
逢坂くんは少し焦る。



「は？嬉しいなら泣くなよ」


「す、すみません、これは嬉し涙で‥‥」


「どっちでも、とにかく泣くな」


「はい‥ぐすん、すみません」





泣きじゃくる私をなだめるように
逢坂くんは上半身を少し離すと


小さい子供を泣き止ませるよう
私の頭をぎこちなく撫でる。




「俺、杏南のこと必要って前から言ってね？」


「そんな本気で‥思ってくれてたなんて‥‥だって逢坂くんみたいな人が私みたいな‥‥そんなの、うぅぅ」


「はぁ？‥‥意味わかんねー」




逢坂くんの言葉に、優しさに‥‥
心の中にあった逢坂くんへの想いが止まらなくなる。

　



「私も、ぐすん、逢坂くんが必要です」


「・・・・・」


「今日、何度も逢坂くんに助けられて‥‥逢坂くんを見たら不安が消えて‥ひっく」


「・・・・・」


「誰とも上手く会話出来ないけど、ひっく、逢坂くんとは唯一自分らしくいれて」



「・・・・・」


「逢坂くんといるときだけ‥ひっく、私、自由になれて」



「‥‥分かったしもういいって」


「はい、すみませ‥ぐすん」





逢坂くんは耳を赤くさせて
私の涙を手でぬぐい取る。