あの空を越えて逢いにいく。
俺たち以外誰もいない教室で
廊下の遠くの方から微かに声が聞こえる。
サボってた体育館での集会が終わった頃か
そろそろ生徒が戻ってくる気配。
イスに座る俺の上に
またがり抱きついてる状態の杏南。
さすがにこんなとこ
見つかるのはマズいかな‥‥。
仕方なく唇をゆっくり離すと
杏南は真っ赤な顔をして息を吸う。
「ぷっはぁ///」
「‥‥息止めてたのかよ」
「だだって///」
普段は真っ白な肌を
耳まで真っ赤にさせて
恥ずかしそうにうつむく表情とか
涙の雫で濡れた黒く長い睫毛とか
たった今初めて触れた
やわらかで艶やかな唇とか
その下の滑らかな白い首筋とか
もう離れないとマズいのは分かってるけど
離すのがもったい。
ヤバいな‥‥
俺はそのままその細い腰に
腕をまわしてギュッと抱きしめる。
「ん‥!逢坂く///」
「あと少し」
離したくない。
ずっと俺だけのものでいて欲しい。
今日はっきり感じた。
好きだって。
「あー‥本気でこのまま離したくないな」
今までも離したくなかった。
杏南に触れていると
身体的に気持ちが楽になったから。
最初の頃は除霊(?)的な意味で
出来ればずっと一緒にいてくれねーかな、
なんて都合良く思っていたりもした。
だけど、いつの間にか
精神的にも依存するようになっていて
今日はっきりと好きだと気付いて。
‥‥やば過ぎるだろ、こんなん。
精神的にも身体的にも‥‥
もう本気で手離せない。