あの空を越えて逢いにいく。
杏南は時速MAXで走る蒸気機関車みたいに
頭から白い湯気を出して怒る。



顔の熱のせいか、分厚くデカいメガネも
同時に少し曇りだす。


なにコイツ、
ちょっとおもしれー(笑)



俺はくくっと笑いをこらえて軽く咳払いする。







「分かんねーなら、もう質問はいいや」


「はぁ」


「直接確かめてみるから」






俺は杏南に腕をのばすと、
その手をガシッと掴んだ。



「きゃぁああぁ!!」


「いちいちうっせーな、ちょっと黙れよ‥‥」




杏南の手を掴んだまま
俺は顔を下げて目を閉じる。





あぁ‥‥やっぱスゲー


放課後までダルかった体が
ウソみたいに軽くなってくる。






昨日のは、偶然じゃなかった。



杏南に触れると
どういう訳だか、体中の毒が抜けていく。






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