あの空を越えて逢いにいく。
体育館のサイド扉から外に出ると
ボールは無かった。



あれ?こっちに転がっていったはずなのに‥‥




体育館裏には茂みが多く
その下にボールが入ってしまったのかもしれない。





私はしゃがみ込むと、茂みの下を覗き込む。




うーん、
葉っぱの下は薄暗くてよく見えないな。




何ヶ所かでしゃがみ直し
茂みの下を覗き込むを繰り返しているが
なかなか見つからない。








ニャー‥‥



その時、小さな鳴き声がした。





「猫?」




顔をあげると、
近くに綺麗な黒猫がいた。






ニャー‥‥




しなやかな肢体に艶のある漆黒の毛並。



黒猫は私と目が合うと、
ゆっくり別の方を見た。



思わずつられて、私もそっちを見ると
その先にボールが転がっていた。






「あ!ボール!」




私はボールを拾いに行く。




「ふぅ、見つかって良かったぁ」



ボールを拾い上げ黒猫の方を振り向くと
黒猫はいなくなっていた。




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