あの空を越えて逢いにいく。





「杏南、今だ打て!」

「はっはい!」




杏南が振り下ろしたラケットに
スパンッとシャトルがキレイに当たる。



「!」

「や、やったぁ!逢坂くん!!」




俺と杏南は思わずパンっ!とタッチする。


2試合ぼろ負けしてからの、3試合目ラストでのようやくの瞬間だけど。


敵の桃汰たちまで笑う。



「杏南ちゃん、やったねー!」

「と、桃汰さんありがとうございます」




汗だくの俺たちはコートを出て休憩する。




「俺さー!バドミントンでこんなに本気でしたの初めて!」

「俺もだし(笑)」

「な!壱護すげー真剣すぎてびびったわ!」




自販機でジュースを買いながら桃汰が満面の笑顔で言う。




「あと壱護と遊べてマジで嬉しいわ」

「そっか」

「壱護って今までどんなに誘っても学校以外は引きこもってたし!」





それはこの霊感体質のせいだし。

でも本当の理由なんて言えるわけもなく
いつもダルいからって断ってた。




「これからはちょくちょく顔だすわ」



杏南も一緒に‥‥
じゃないと無理かもだけど。



桃汰は感動したのか瞳をキラキラさせる。




「壱護くん雰囲気もちょっと変わったくね?」




この変な雰囲気に乗せられたのか
桃汰の部活メンバーまでそんなことを言い出す。 




「いやいや別に変わってねーし(笑)」

「いやいや!全然ちがうから!(笑)」





まぁたしかに。

こんな風に男子でじゃれ合うのも
なにげに初めてだったりするけど。


杏南もニコニコして俺らを見てる。



< 56 / 123 >

この作品をシェア

pagetop