あの空を越えて逢いにいく。
高校に着く頃には
辺りはすっかり暗くなっている。



誰もいない校舎の横を通り過ぎ
俺たちはプールがあるフェンスに来た。



俺はフェンスを登る。



「きゃあ!逢坂くんあぶない」



びびる杏南をよそに
俺はフェンスの内側に飛び降りる。


フェンスはそんなに高くねーし。





「杏南も来いよ」

「え、でもダメですよこんなの」

「サッサと来ないと見つかるし。ほらあれ警備員の懐中電灯じゃね?」

「!」




杏南は慌ててフェンスをよじ登ると俺と同じように内側に飛び降りてきた。



「ははすげぇ。やれば出来んじゃん!」

「警備員どこですか?!」




隠れようとしているのか
頭を抱えてしゃがみこむ姿勢の杏南。




「そんなことよりプールプール」

「?!だ、騙したんですか?」

「一回泳いでみたかったんだよな」



俺は笑いながら汗で汚れたシャツを脱ぐと
パシャンとプールに飛び込んだ。









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