あの空を越えて逢いにいく。
運動した後の
蒸し暑い夜の貸切プール。



「すげぇプールってこんな気持ちいーのかよ」




人生初のプール。


杏南がいなきゃ絶対出来なかった。
水中でなんかあったら、とか怖すぎるし‥‥


俺は授業のプールも基本的に
サボって逃げてる。





「杏南もこっち入れよ」

「私は濡れたら困るからいい‥‥」

「気持ちいーのにもったいねー」






プールサイドに座る杏南と
そのそばを背面姿勢ですーっと泳ぐ俺。



初めてでも案外泳げるもんだな。

てか脱力して浮いてるだけだけど(笑)





「月が綺麗だね‥‥」

「あぁ俺も思った」






夜空に浮かぶ銀色の月。

今日は満月か。

















その時

水の中から引っ張られるような
冷たい感覚に襲われる。






やば‥‥






そう思った時には

俺はもう水の中にいた。




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