あの空を越えて逢いにいく。
俺に絡みつく無数の青白い腕。

身体の芯から冷えて頭の奥がズキズキし出す。






杏南とずっと一緒にいたから
最近ご無沙汰だったこの感覚。






ちょっと油断して
はっちゃけ過ぎたな‥‥





助ケテ‥‥ 悲シイ‥‥

そんな声が耳奥に響く。



水中だから息苦しいのか
霊のせいで苦しいのか


もうよく分かんねぇけど
ただ、とにかく苦しくて苦しくて‥‥








なんで俺ばっかりこんな目に。
























「逢坂くん!!!」






バシャンという大きな水音と共に

暗くて狭い水の中から
力強く引き上げられるような感覚。



同時に大量の酸素が入り込んで
呼吸が一気にラクになる。







あーー、

あの雨の日の神社と同じ。




「逢坂くん!!しっかりして!!!」




その声に導かれるように目をあけると
目の前には杏南がいた。


 


よっぽど慌てて飛び込んできたのか
メガネが落ちたその顔は



本物の天使のように綺麗だった。



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