あの空を越えて逢いにいく。
「お前‥‥杏南?ゲホッ」

「逢坂くん!?良かった!意識戻った!」







俺を抱きかかえながら、
確かめるように俺の頬をぺちぺち触る杏南。










いや、杏南‥‥だよな?





水に濡れた髪はしなやかに艶があり
色白の肌は月に照らされ輝いている。




いつも前髪とメガネで隠れていた
その場所には


漆黒の長い睫毛に縁取られた
大きく綺麗な瞳があった。




キラキラ光る涙の粒が白く柔らかな頬を
雫のように流れる。










「おま‥‥それは詐欺だろ‥」


「何がですか?!てかもう本当にビックリさせないでください!」


「いやいや‥‥マジこっちの台詞」











杏南は俺を抱きしめながら
わんわん泣いた。




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