あの空を越えて逢いにいく。


「あ‥ここ家です」




大きな門の前で立ち止まると
逢坂くんと向き合う。





「‥‥お前ん家デカ」

「そ、そうですか?大きくても空っぽですよ」

「なんだしそれ」




ふ、と小さく笑う逢坂くん。


月と電灯に照らされるその笑顔は
とても綺麗で、どこか儚げ。






「1人で帰れますか?私が送っていった方が」

「いやそれ俺送った意味なくなるから(笑)」

「でも夜道でもしもさっきみたいに‥‥!」




そこまで言って

プールでいきなり沈んでいった
逢坂くんを思い出し、鳥肌が立つ。




逢坂くんが霊感体質だって聞いて
理解したつもりだった。


気分が悪そうな所も何度か見た。


だけど実際にあんな怖いところを
目の前で見て、すごくショックだった。





「私‥‥一秒でも逢坂くんを一人にしたくない」






今まで逢坂くんは
あんな体験を何度乗り越えてきたんだろう。


誰にも言えず、たった一人で‥‥






「じゃあ一緒に住む?」

「え?!す、住む?!」

「冗談だし(笑)」





悪戯っぽく笑う逢坂くん。



な、なんだ、冗談か。
そりゃそうだよね。


でも逢坂くんが笑ってくれると
嬉しくなる自分がいる。


最近ずっと逢坂くんと一緒にいて気付いた。





私は想像してしまう。

逢坂くんが隣にいてくれる毎日を‥‥







今日、私‥‥
人生で一番楽しい日だったよ。


< 65 / 123 >

この作品をシェア

pagetop