あの空を越えて逢いにいく。
体育の授業が終わると
私は職員室に呼び出された。



私が行くと
学年主任の先生が改まって言う。





「白雪、お前に勉強をみてほしい生徒がいるんだ」



いつになく真剣に、先生は私を見つめる。

これは‥‥ただ事ではない?





「‥‥誰でしょうか?」


「逢坂だ。アイツ去年留年してて、今年も赤点が続くと、退学になる」


「!」




逢坂くん、留年してたんだ。


私は逢坂くんの
大人びた雰囲気を思い出す。



大人びた雰囲気は
年上のせいでもあったんだ。






先生は憔悴しきった様子で頭に手を当てる。




「逢坂の親御さんが教育委員会のお偉いさんでな‥‥絶対に退学は避けたい。

留年したとき、逢坂はそのまま退学するつもりだったみたいだが、高校だけは続けるように俺から説得したんだ」


「はぁ」


「しかし本人は全然やる気なくて‥‥相変わらず勉強しなくてな‥‥」




先生はすがるように私を見る。



「留年は、二度目はない。今年も点数が取れず留年→強制退学なんてなったら‥‥逢坂の親からの圧力を考えると俺はクビになるかもしれん」


「‥‥まさか」


「いやいや、そのまさかなんだ!アイツの傲慢な性格知ってるだろ?その親だぞ!?」




先生は興奮して取り乱す。



「俺には家のローン残り15年と3人の子供に嫁さんがいるんだ‥!俺の人生は白雪‥お前にかかっている!(泣)」






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