あの空を越えて逢いにいく。
眼科ではあまり待たされることもなく


簡単な視力検査と診察をして
私は無事にコンタクトレンズを購入できた。





「す‥すごい‥‥」




初めてコンタクトを入れる時には
相当ビビって時間がかかってしまったけれど‥


一度入ってしまえば
コンタクトをしているのを忘れるほど
何の違和感もなかった。






「す、すごいです!!コンタクト!!」





今までメガネがないと何も見えなかったのに
すごく視界がクリアだ。




「すっげー喜びよう(笑)」



 
 
興奮する私に逢坂くんは笑いをこらえる。





 
「次は服でもみる?お前の私服毎回ダサいし」


「は、はいっ。逢坂くんのセンスで選んでくれますか?」


「いーけど俺、女モンはあんま分かんねーよ?」


「いえ!私よりは分かってると思います」


「あぁ‥まぁ確かに(笑)」






そんな風に話しながら
モール内を歩いていると


すれ違う人にチラチラ見られている事に気付く。








‥‥え、なに??


逢坂くんがカッコ良いから見られるのは
いつもの事なんだけれど


なんだか私も見られている‥‥??





「・・・・」




あんまりにも見られるから
だんだん不安になってくる。









「あの逢坂くん‥‥私どっか変ですか?」

「は?」

「なんだか色々な人に見られてるんです」





人々の視線から隠れるように
うつむいてメガメを触ろうとしたけれど

そこにメガネが無いことに気付く。






「あぁ、お前まだ自分のこと見てない?」

「え?はい」





コンタクトを入れる時に手鏡を借りたけど
あの時は入れるのに一杯一杯だった。

自分のことなんて、見てない。






「そっか。あ、ちょうど良いとこに鏡あんじゃん」





逢坂くんは私の手首をぐいっと引く。


そこにはモールの柱があり
側面が鏡になっている。







鏡の中には

私の知らない私が映っていた。






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