「強がってんだよ…気づけバカっ。」

「あのさっ」

「んっ?」

「綾瀬さん、何か隠してるよね?」

「‥、えっ?」


なんだろ、楠木くんは何が言いたいのかな
私の隠し事‥
何も思い当たらない




「ごめん、、俺。
綾瀬さんの傷、見たんだ‥。」

「えっ?、、、」




傷?、、傷って、、まさかっ

いや、違うよね?
この腕のことだよね、、


「あっ、この傷なら、さっきの体育で
スパイクにやられちゃっただけだよ」

自分の腕に目を落とす
やっぱり思ってた以上に酷い

「カッコ悪いよね。
スパイクの1つも取れないなんて‥」

いくら嫌々でも、私と同じチームになってくれたメンバーに申し訳ない

いつも足を引っ張るだけの私は
やっぱり邪魔だよね‥


「綾瀬さん‥」

「‥‥、ん?」



「俺が聞いたのはその傷の事じゃないよ」




えっ?‥ どういう事?
この腕の事じゃない‥


それじゃあ‥‥



嫌な予感がする、、、怖い。




「綾瀬さん、腕だけじゃなくて
他にもいっぱい傷ついてるから、。
それに、ひと目で転んだとか
そんなんじゃないことくらい分かる。」

「っ、、、、なんで?
楠木くんが知ってるの?」

信じられない。
信じたくない。

だって、今まで、、あの日からずっと
誰にもバレないように気づかれないように
必死に隠してきたのに‥

それなのに、、なんでっ、?

「ごめんっ、綾瀬さんの袖から
アザが見えたから気になって、、」

「‥‥‥、、」


なんだろ、
この感情、、わからない。

楠木くんに自分の傷を勝手に見られて
許せないとか、そんなんじゃなくて、、


こんな汚い体を楠木くんに見られてしまったってそんな喪失感。


楠木くん‥


引いたよね?、、、





ごめんね‥、、












私はこんなにも汚いんだっ、、。
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