「強がってんだよ…気づけバカっ。」
✣この手に刻んで✣


ーーー、ピコッーーー


部屋に戻るとケータイが鳴った

それはこうくんからのLINEの通知で


『優、ちゃんと帰れた?
無理したらダメだよ』


なんて、私を心配してくれる優しいもので
すごく胸が締め付けられる

楠木くんのことが好き
そう気づいてしまった今

こうくんにどう接したらいいの?
こんなにも優しいこうくんを見ていると
すごく胸が痛んだ‥

今日だって、私のために保健室に駆けつけてくれたこうくん。

心配して家まで
送ってくれようとしたこうくん。


そんな優しいこうくんを思うと
この楠木くんを好きだって感情が
とてもやましくて、、、


こうくんに愛を返せない私が
どんだけ最低な人間なのか実感する


私は今、こうくんの彼女。

それなのに他の誰かを好きと思う自分が
本当に嫌になる。


こんな気持ち、こうくんには
絶対に言えない。

言っちゃいけない。





そう思ってたこの時の私は、、



それが余計にこうくんを苦しめるなんて、


傷つけるなんて、、




知らなかった‥、、、。

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