「強がってんだよ…気づけバカっ。」
「心臓、止まるかと思った‥」
なんて小声で言う楠木くん
「っ、、ごめん、、なさい‥」
そんな楠木くんに謝ることしかできない‥
そんな私に少し体を離して
頭をぽんぽんしてくれる
「綾瀬さん、ごめんっ、、
俺、すぐ見つけてあげられなかった‥
約束、したのに‥」
そう言う楠木くんの瞳が、
また悲しげに揺れる
「違うよ、、謝るのは私だよ‥
またこんな勝手な事して困らせて、、
ごめんね‥、。」
今こうやって側にいてくれる
それだけで本当にうれしいっ。
ひとりにしないって、
約束、本当に守ってくれた。
こんな私を見つけてくれた‥
そう実感するとまた楠木くんへの
好きって気持ちが大きくなってしまう、
ダメなのに‥、こんな気持ち、、
これ以上大きくしたらいけないのに‥、、
楠木くんにも迷惑なだけなのに‥
「綾瀬さんのこと守りたかった‥
傷ついて欲しくなかった、それなのに」
途中で話すのをやめると、
楠木くんはさっき出来たばかりの傷に
優しく触れる
その優しい体温が痛みなんて
包み込んで、消してくれるみたいで
なんだか、哀しくなる‥
また楠木くんに頼ってしまいそうで、
怖いから‥
「これ、誰にやられたの?」
楠木くんのその声は
今までに聞いたことのないもので
怒ってるのが分かる
楠木くんが怒る理由なんてないのに‥
必要もないのに‥
なんで、こんなにも怒ってるのかな‥
誰にやられたのか、それを言ってしまうことなんて簡単だけど‥
それを今ここで言ってしまったら、、
楠木くんなら、、
きっと、あの子達のところまで行って
辞めさせようとしてくれることは想像がつく
怒ってくれるって、、、
でも、そんなの嫌だから‥
だって、そんな事したら、
楠木くんがこんな私のために
あのリーダー格の女子達を叱ったなんて
知られてしまったら、、
楠木くんはどうなるの?
学年中の男子から非難されるに決まってる
きっと、あの女子達を敵にまわしたら
酷い目に遭うに決まってる‥
私はもう、あの子達に嫌われてる
だから今更もがいても仕方がない。
けど、楠木くんは違うから、、
みんなに愛されてて欲しいから‥
話したりなんてしたくない。
話しちゃいけないんだって、、、
そう思う‥