「強がってんだよ…気づけバカっ。」
だから‥


「‥覚えてなくてっ、分かんない‥」


なんて、そんな苦しい嘘をついた‥


「っ、、嘘でしょ?」


そう言って私を覗き込む楠木くん
私の嘘なんか通用しないって分かってる

いつも楠木くんには隠せないでいた
体中の傷の事も、、家の事も、、

話してしまう自分がいた。


だけどね、、話してしまってから
後悔するのはもう嫌なんだ‥

私の事を話してから、、
優しく受け止めてくれた楠木くん。


だけど、どこか辛そうで、悲しい表情をしているところをよく見かけてた


もう、そんな顔はして欲しくないから、、

私のせいで苦しめたくないから、、



「本当だよ、。ごめんね、、」


「‥そっか、、俺の方こそ、
嫌なこと思い出させてごめんっ、、」


きっと、いや絶対。

楠木くんは私が嘘をついてるなんて
分かってる、、分かってて、、

見逃してくれたんだ、、


少しだけ気になったことを聞いてみる


「あのー、楠木くん授業は?」


この時間、普通なら授業中なはずだから、、

それに楠木くんが授業をさぼるとこなんて
見たことがない‥


だから、なんで楠木くんがここにいるのか
気になった。


「んー、それどころじゃなくて、、
忘れてたよっ、、」



なんて、優しい微笑む楠木くん

それって、、、もしかして、、




「もしかして、私を探してくれたから?」


「あー、うん‥授業始まっても綾瀬さん
戻ってこないから気になって、、
もしかしたら、ひとりで泣いてるかもって
思ったら居てもたってもいられくて」



なんて、顔を真っ赤にしながら
言ってくれる楠木くん


あぁ、ダメだ‥
また好きの気持ちが膨れ上がってしまう、


誰かが私のために必死になってくれたなんて
そんなこと初めてで、、

うれしくて、たまらない。



「、楠木くん、、ありがとっ‥」


改まって言うのは恥ずかしいけど
だけど、言いたくなった。


「まぁ、屋上が開いてたときは
本気で焦ったけどー」


なんて、また少しだけ意地悪に微笑む
楠木くんが可愛くて、笑ってしまう。


「っ、ごめん、ごめんー」




やっぱり楠木くんといると
こんなに楽しくて、、、


好きだって、、この気持ちからは
逃げられないって、、認めてしまう。
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