「強がってんだよ…気づけバカっ。」


それから放課後まで授業には出なかった

どうしても教室に戻る気になれない私に
楠木くんも付き合ってくれた‥


屋上で二人きりの空間は緊張したけど
なによりも楽しくて、癒やされた。


楠木くんは他愛もない会話をしてくれた
さっきの事には触れないでくれた、、

そんな優しさがまた心地よくて
好きだなって思う‥



「綾瀬さん、そろそろ帰ろっか」

「あ、うん!」


帰り道、楠木くんの隣を歩くのは
何かドキドキして、、

毎日こんな感じなら良いのにって思う

車道側を歩かせてくれない
そんな気遣いも楠木くんらしくて

夢の中にいるみたいに幸せな時間だった



「綾瀬さん、ひとりで大丈夫?」


家に着いてしまうと夢から覚めたみたいで
寂しさが襲ってくる‥

楠木くんの優しい言葉だって、
もうすぐ帰っちゃうお別れの言葉だと思うと
胸が締め付けられた

もっと一緒にいたかったな‥


「うん、大丈夫だよ!」



「んー、でも、何かあったら
連絡して欲しい、、」

「‥‥、、っ、うん。」


「頼ってよ、、俺のこと。」


楠木くんの優しさに触れる度に
離れられなくなってしまうみたいで

怖くなる‥、、

どんどん弱くなる自分を実感して、、
嫌になる。


それでも、いつも楠木くんに甘えてしまう
こんな自分を止めることができない。

ダメなのに‥、、


迷惑をかけるだけ、困らせるだけ、、



分かってる。、、



「本当にありがとっ、、」


ありがとう、楠木くん。


「俺の方こそ、楽しかった。
ありがとな‥」


あ、もうすぐ帰っちゃうんだ‥、、



「、、、また明日‥ね?」


「うん、また明日。」
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