「強がってんだよ…気づけバカっ。」
「っ、、んっ、、、。」
刃先が通った跡には血が滲み始める、、
初めてのこの感覚は、予想よりも遥かに怖くて、、痛かった‥。
でも、この傷は大切な証‥
この傷を見る度に思い出せるから
私は消えるんだって、、そんな決意を、。
ーーー、ピコッーーー
ケータイの通知が鳴った。
楠木くんかな?、、急いで確認する‥
こうくんからだった。
『今日、急にいなくなったから心配してる。
どうした?、、なんかあった?』
そんな優しい文面を見てしまうと、
楠木くんからの連絡を期待した自分が
本当に最低だと思う‥
こうくんはいつもこんなに
優しさを与えてくれるのに、、、
その気持ちに応えられない自分がいるから。
『ごめんね、、ちょっと体調崩して‥
けど、もう大丈夫だよ!
ありがとっ、こうくん。』
そう返信した。
体調崩したなんて、、こんな嘘。
でも、そう返信するしか思い付かなかった
こうくんを狙ってる女子達に
脅されて、、殴られて、、、
なんて、そんな口が裂けても言えない。
言ってはいけない‥。
迷惑をかけたくない。
大丈夫、、きっと。
これから何があっても、何をされても、
耐えられるから。
慣れればいいだけだから、。
『今から家行ってもいい?』
こうくんからのそんな返信。
きっと、側にいようとしてくれてる、、。
だけど、、だけどっ‥。
『ごめんね‥。今、家にお母さんいるから
こうくんのこと、困らせちゃうよ。』
きっと、この前の出来事で、
こうくんはうちのお母さんに
良いイメージなんてないと思う。
だから、そう返信した。
こうくんが家に来ないように仕向けた。
本当に酷いって、自分でも思う。
だけど、こうくんに会っても、、
きっと喜べない私がいるから、、
そんな気持ちで会ったりなんかできないと
思ったから‥、、断った。
楠木くんには話せてしまう事が
こうくんには話せなくて、、
自分の中の特別が
楠木くんなんだって、また実感するだけ。