渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「私の答えは、決まっています」
「あぁ、聞かせてくれ」
(英雄王と呼ばれ、絶対的な力を持つ大国の王が、私のような王女への求婚に、こんなに不安そうな顔をしているなんて……)
不安に揺れるガイアスの瞳に、カルデアは言いようのない愛情が膨れていくのを感じた。
「お受けします、心から……あなたを愛しいと想うから」
(愛している……)
こんなに幸せだと思ったのは、人生できっと、これが初めてだと思うくらいに、カルデアは幸せだった。
「っ……カルデア、この世に生まれてきた事、俺を愛してくれた事……っ、全てに心から感謝する」
「私もっ……私と出会ってくれたあなたに感謝します。愛してるわ、ガイアスっ」
ガイアスの腕の中、カルデアは思う。
(あなたに出会えて、本当に良かった……)
今までの人生を、辛く悲しい過去にする事は簡単だった。
それでも、その辛く悲しい過去の上に、課せられた使命という重圧も含めて、カルデア自身だと言ってくれたガイアス。
カルデアの全てを愛してくれたガイアスに、もっと自分を、そしてガイアスの事を大切にしようと、そう強く思った夜だった。