渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
五章 幸せな再婚
「本当にお綺麗です、カルデア様っ!」
ガイアスとの結婚式を数時間後に控えていたカルデアは、マオラが着付けてくれたドレスを着て、鏡台の前に立っていた。
目を引くような、光沢のあるシルク素材の明るい純白の布地に、カルデアの髪色と同じ金糸の刺繍がびっしりと施された、スラッとしたイブニングドレスのような婚礼衣装。
額にも、琥珀の宝石が埋め込まれた黄金の装飾が飾られ、長い髪はそのままに、耳の上の辺りで朱いビスカの花飾りとベールが着けられている。
「アルナデール国とも、イナダール国とも全く違う婚礼衣装なのね」
アルナデール国は雪国のため、ドレスの上からファーをつけ、服を重ね着する。
イナダール国はナディア国のように暑い気候の国だったが、アルナデールと変わらず、なんの刺繍もない純白のドレスが基調だった。
「ナディア国の花嫁は、とにかく豪華に着飾るのが幸せの証なのですよ!なので、白じゃなく、赤や黄色と言った鮮やかな婚礼衣装を着る花嫁もいますね」
「そうだったの、人も土地も豊かな、この国らしい伝統ですね」
ますます、この国が好きになったカルデアは、笑顔で身に纏った婚礼衣装を見つめる。
――コンコンッ。
そんなカルデアの元へ、思いがけない客人がやって来た。