渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「おぉ、なんと美しい花嫁姿だ!」
「……ハミール様、ガイアス様に殺されますよ」
部屋にやってきたのは、いつも通りのハミールに、呆れた顔をしたシュドだった。
ハミールはガイアスとの喧嘩の後、何事も無かったのようにガイアスにちょっかいを出しており、ガイアスも「怒る価値もないな」と、呆れていた。
(二人は喧嘩しても、すぐに元通りになれるほど、深い絆をお持ちなのかもしれない)
カルデアはそんな事を考えながら、ドレスのスカートを掴み、訪ねてきてくれたハミールとシュドに向かって膝を折る。
「ハミール様、シュド様、ごきげんよう」
カルデアが優雅にお辞儀をすると、ハミールとシュドは感嘆の吐息を漏らす。
「実に出来た王妃だ。ガイアスに譲るなど、実に惜しいことをした」
「譲るもなにも、土俵にすら立てていませんよ」
「何か言ったか、シュド」
「いいえ、空耳では?」
笑顔でビリビリと空気を張り詰めさせる二人に、マオラはツカツカと歩み寄ると、腰に手を当てた。