渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~



結婚式を終え、夫婦となったカルデアとガイアスは、今日から同じ寝室で過ごす事となった。

二人で寝台に腰掛けると、手を繋いだまま見つめ合う。


「私は、一度目の結婚より、あなたとの再婚の方が何倍も幸せだわ」

「カルデア……」

「あなたを愛して、愛してもらえて……夢を見ているみたいなの」


カルデアは薬指にはめられた指輪を見つめて、幸せそうに微笑んだ。

ガイアスも、そんなカルデアを愛しげに見つめる。


「結婚が終わりではないぞ、カルデア。その先も、夫婦になり、子を設け、年老いても添い遂げる……先はまだまだ長いからな」

「ガイアス……ふふっ、そうね」


(これから長い時を、この人と歩んでいく)

そう考えるだけで、カルデアは今ここで心臓が止まり、死んでしまいそうな程、幸せだった。


「全て夢などではない、それをこの俺が教えてやる」

「あっ……」


ガイアスに優しく手首を掴まれて、カルデアは寝台に縫い付けられるように押し倒される。


(何をされるのかわからない程、子供じゃない。けれど、緊張するわ……)


ガタガタと震えるカルデアの額に、ガイアスは安心させるように口付けを落とした。


これから訪れるのは、幸せな時間なはずなのに、カルデアは不意にヘルダルフから受けた暴力を思い出す。


「っ………!」


屈服させられ、力任せに殴られたあの時間。

なぜ今になって思い出してしまうのか、カルデアは恐怖感に涙を流してしまった。

カルデアの様子がおかしいことに気づき、ガイアスは目を見張る。


「カルデア……どうした、なぜ泣いている?」

「ううっ……ごめんなさい、思い出してしまうの……っ」


泣きじゃくるカルデアの涙を唇で拭いながら、「何をだ?」とガイアスが優しく尋ねる。



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