渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~



「っ……ヘルダルフ様の、暴力を……」

「っ……!!」


ガイアスは息を詰める。

そんなガイアスに申し訳なくなり、カルデアはまた涙を零してしまった。


「今、私はとても幸せなはずなのに、何故か……今、思い出してしまった……っ」

「っ……俺は、お前に消えぬ傷をつけたヘルダルフが殺してやりたいほど憎い」


奥歯を噛み締め、悔しげに眉間にシワを寄せるガイアス。
そして、静かにカルデアの頬に指を這わせた。


「与えられた痛みも傷も、上書きする程の愛をお前に注ごう。いつか、体を重ねる度に幸せな事だけを思い出せるように」

「あっ……」


ガイアスは、カルデアの婚礼衣装を静かに脱がしていく。


一枚一枚、生まれたままの姿へと戻っていくカルデアは、ガイアスに身を任せるように瞳を閉じた。

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