渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~



「恐らく、それがカルデアの本当の姿なんだろうが、俺としては心労が尽きない」

「心配かけてごめんなさい。でもね、私ナイフさばきには、自身があるのよ」


カルデアは自慢げに切ったオレンジの皮をガイアスに見せて、褒めてと言わんばかりに微笑む。

けれど、返ってきたのはガイアスの咎めるような視線だった。


「そんなものに慣れるな!」

「っ……ごめんなさい」


(好き放題、やりすぎてしまったかしら……)

つい声を荒らげたガイアスに、カルデアは落ち込む。


しょんぼりとするカルデアを見たガイアスは、バツの悪そうな顔をして、無言でカルデアの隣に腰掛けると、オレンジの実を手に取った。


「……声を荒らげて悪かった」

「いいえ、私が無茶してるからなのよね?」


自覚はしているが、カルデアは使用人の仕事を手伝う事が好きだった。

そんなカルデアを皆は不思議そうに見ていたが、明るく優しいカルデアの人柄に、最近では皆が身分差関係なくカルデアに接している。


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