渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデア……その、惚けた顔……そそる」
「っ……ここ、船……っ」
(止めなくちゃ……)
このまま情事に没頭しそうになる頭を切り替えるように、カルデアは近づいたガイアスの顔を両手で押しのけた。
「町から帰ったら、お前を抱くつもりだったのに……。その約束は果たされていない、我慢も限界だ、止めるな」
「……いいえ、ここでは嫌よ」
(私だって、ガイアス様に求められるのは嬉しい。それでもここには、他にも人がいるのよ!)
個室といえど、船室の壁は薄く、所々隙間が空いていて、外から中の様子が見える。
(とても落ち着けない、絶対に無理だわ)
カルデアは顔を真っ赤にしながら、それでもいいのかと文句を込めて、ガイアスを軽く睨みつけた。
「周りの人間に気づかれるのが怖いのなら、お前が声を出さなければいいだけの話だろう?」
からかうように笑うガイアスに、カルデアは頬を膨らませて、軽くその胸を叩いた。
「本気で、怒ってるのよ」
「冗談だ、そうむくれるな。俺だって、お前の美しい肌を他の男に晒すなど、耐えられんからな」
ガイアスは優しくカルデアの頬に両手を当てたと思うと、その横をすり抜けてゆっくりと、首の後ろに回す。