渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「そんなに耳を真っ赤にして、カルデアは俺を誘うのがうまい」
「そ、それは……あなたとの距離が近くて……っ」
「カルデアは、幾つ夜を共にすれば、俺に慣れる?いつまでも、初な反応を見せるから、俺はつい意地悪してしまう」
ガイアスは遊ぶようにして、カルデアの鼻先や際どい口端、顎先に口付ける。
(もっと、触れて欲しい……)
カルデアは心の底から沸き上がる、渇望にも似た感覚を覚える。
ガイアスの唇にくすぐったそうに身をよじらせながら、カルデアはまだ物足りないとガイアスを見上げた。
「物欲しそうな顔をして……俺の方が、待てなくなる。絵本の話は、まだ終わっていないというのに」
ガイアスは性急にカルデアの唇を求めた。
荒くなる呼吸、激しく高鳴る鼓動の中で、ガイアスは語る。
「俺は……お前をあの塔で見つけた時、俺がカルデアの勇者でいようと決めた……」
「っ、え……?」
カルデアが目を見開くと、ガイアスは愛しげにその輪郭を指で撫でる。
そして、怪しい光を放つガイアスの唇が、ゆっくりと動いた。
「お前を見た瞬間から、この女しかいないと思った」
「ガイアス……」
「俺達が出会い、こうして結ばれる事は運命だった。そうは思わないか……カルデア」
(私は、この出会いを奇跡だと思っていた……。けれど、そう……あなたはそれをもっと強い、運命と呼ぶのね)
カルデアは静かに手を挙げて、ガイアスの頬へと触れる。
そして、瞬きと共にひとしずく涙を零した。
(ならば、私はこの出会いを……もっと強い言葉で表現しよう)