渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「私は……奇跡でも運命でも無く、生まれてきたその瞬間から、あなたと出会い、愛するための道を……自分で選択してきたからこそ、今があると信じてる」


「っ……!」


「ねぇ、ガイアスは……そうは思わない?」


首を傾げれば、ガイアスは息を詰まらせて、我慢出来ないといった様子で、カルデアのドレスに手をかける。


しかし、いつもなら手際の良いガイアスが、背中のボタンを外せずに戸惑っていた。


「なんだこれは……アルナデール国の服は勝手が違うな」

「あ……ふふっ、ナディア国は帯で服を締めるから……」


着物が主流のナディア国は、帯で前身ごろを止めている。

婚礼に着た服はドレスだったが、ボタンではなく上から被るようにして着る作りになっていた。

しかし、アルナデール国ではドレスが主流だ。

この城に泊まる事になったカルデアは、着慣れたこの国のドレスに着替えていた。


「もどかしい、どうすればいいのだ、カルデア」

「えっと……ボタンを、外してください」


カルデアは恥ずかしかったが、少しだけ体を起こすと、ガイアスに背を向けた。

(これ……まるで自分から脱がせてとお願いしているみたいで、なんだか恥ずかしいわ……)

カルデアは顔に熱が集まるのを感じて、俯く。


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