渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「また、お前と……あの丘にビスカの花を見に行きたい」


ガイアスはカルデアの肌に散る赤い花を見てそう呟いた。
それを聞いていたカルデアは、花が咲き誇るかのようにふわりと微笑む。


「私……も、あなたと……あの場所に行きたい」

「あぁ、なら……国に帰ったら、遠乗りに行こう」

「えぇ、楽しみだわ」



城内でさえ寒さを感じるこの雪の国で、ガイアスの腕の中は太陽をそのまま連れてきたかのように熱かった。


(あなたの側だから、私は寒さに震えずに済むんだわ)


カルデアはその熱に身を委ね、やがて同じ体温になっていくのを心地よく感じながら、静かに目を閉じたのだった。



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