渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「ルドルフ大臣、後は頼んだぞ」
「はい、王妃様の母国を建て直すため、尽くしていきます」
ルドルフ大臣とアイルも、カルデアとガイアスを見送るために港へと来ている。
ルドルフ大臣は建国のために働きたいと自ら志願し、アルナデール国に残る事を選んだ。
恐らく、ルドルフ大臣なりの罪滅ぼしなのだろうとガイアスは言っており、カルデアも止める事はせず、その決断を尊重する事にした。
「カルデア姉様、ガイアス義兄様、どうかお気を付けて」
「えぇ、アイル。あなたも体を壊さぬように、困った事があれば、いつでも文を寄越してね」
「はい、カルデア姉様」
カルデアは自分よりうんと大きくなったアイルを抱きしめると、名残惜しむようにそっと離れた。
隣にいたガイアスは、アイルの頭に手を乗せる。
「建国が落ち着いたら、ナディア国に遊びに来るといい」
「はい、その日が待ち遠しいです」
「時々、様子を見に来るからな」
私達は乗船すると、甲板からアイルやルドルフ大臣、城から来ていた兵士達に手を振った。
「行ってらっしゃい、カルデア姉様ー!」
「お幸せにー!!」
「また、帰ってらして下さいねー!」
いつの間に集まってきたのか、民たちも笑顔でカルデアを送り出している。
その姿にカルデアは思わず涙ぐみ、それでも「行ってきます!」と笑顔で手を振り返した。